糖尿病と眼科はとても密接な関係にあります。
網膜症と糖尿病の重症度は必ずしも正比例の関係ではありませんが、コントロールが良いに越したことはありません。
ですから少なくとも網膜症を発症している患者さんであれば、眼科医といえど内科治療の状況は気になります。
特に私は、母が糖尿病で苦労していたのを見ていますので、とても関心があります。
母はインシュリン自己注射をしていましたので、血糖値を測定することがつきものですが、冬になると指先が荒れるので測定に苦労していました。
自己測定に関しては、以前このブログにも書きましたが、便利なデバイスがあり専用のセンサーを皮膚に張り付けると、自動的に一日を通して血糖値を測定することができ、それはグラフ化されます。
さて、今日話題にしたいことは低血糖になることの危険性についてです。
低血糖になると、手指が震えたり冷や汗や動悸 めまいがして体が警告を発してくれるので、すぐにブドウ糖10gや甘いジュースを150~200mlとれば、普通は15分ぐらいするとおさまるので、不安を感じすぎる必要はないはずです。
しかし高齢になるにつれ、自覚症状に気付きにくくなり、自分での対処が遅れやすいので、意識障害に結びつきやすい。
重症の低血糖は、年間約2万件発生しているそうですが、その2/3は2型糖尿病に発症し、年齢の中央値は77歳。
その5%は、神経障害の後遺症や認知機能の低下 死亡につながります。
その重症低血糖を起こす2型糖尿病の中で、61%がインシュリン治療 33%がSU剤内服治療中の方で、インシュリン治療の方は、HbA1cは7.2 内服治療中の方は6.4(いづれも中央値)だったそうです。
ですから一律治療目標値を設定することは必ずしも良くないようで、低血糖リスクを考慮して治療に使う薬ごとに、目標とするHbA1c値は違っていてよいとの見解もあるようです。
個別対応という点では、緑内障治療の目標眼圧にも通じるものがあります。
週1回投与のインシュリン製剤や、血糖変動に応じたインシュリンポンプの開発等 内科の世界でもどんどん治療法が進化していることを知り、私が知っていることは本当にごく一部のことなのだと勉強になりました。