白内障手術を施行するにあたって、ほとんどの方が眼内レンズを挿入することになります。
その際、おおざっぱに単焦点レンズと多焦点レンズがありますが、今年の3月までは、多焦点レンズは白内障の手術代も含め、健康保険の対象から外れていました。
そのため、高額な費用負担があり、それほど一般的に普及しているとは言えない状態でした。
ただ、当院でもそうでしたが、届をしている医療機関については、先進医療機関として認定を受けることができます。
そして、生命保険に加入しかつ先進医療特約を付けていた方は、白内障手術に対する保険金に加えて、高額な多焦点レンズに対しても保険金が支払われるため、患者さんとしては窓口での一時立て替えのみで、後日返金を受けることができるシステムでした。
ところが、昨今白内障手術を受ける患者さんが増加し、先進医療特約を使う人が増えたため、ついに先進医療の枠から、多焦点レンズを使用した白内障手術は外されることになりました。
ある意味折衷的な案として、日本眼科学会と厚労省との協議の結果生み出されたのが、多焦点レンズを使用した白内障手術を選定療養というカテゴリーに加え、混合診療が開始することになりました。
つまり手術代は保険診療で、高額な多焦点レンズ代は、患者さんから徴収するという方法です。
往々にして、折衷案というのは中途半端なものになりがちですので、今後も注意深く見極めていきたいと思いますが、当院もその届を済ませましたので、なるべくメガネを使わず遠くも近くも見えたいという希望がある方はご相談下さい。
この選定療養を使えるのは、政府の認めた公認レンズのみです。
以前から、こういったレンズを使えるのは、白内障以外に大きな眼科的な問題がないことや、あまり神経質でないことなど、万人に適応があるものではありません。
今まで通り、メガネをかけることが苦にならない方は、単焦点レンズでもよいのです。
ただ本音を言うと、私はできたらメガネなしで過ごせたらと思っていることも本当です。