近視人口が、世界中特にアジア圏で激増しているお話は、以前もこのブログで取り上げました。
近視だけであれば、それが失明原因になることはありませんが、強度近視となると、そのために起きる黄斑症や緑内障が原因で、失明する可能性があるため、国家的規模での取り組みとなっています。
近視についての研究もだいぶ進んできましたが、強度近視から黄斑症が発症するメカニズムについては、あまり解明されていません。
そもそも近視の発症は、双子の研究や家系調査等より、遺伝性があることは証明されていましたが、そのほかにも、環境によるもの(外遊びが減った 携帯やPCなどの長時間作業)がクローズアップされ、話題性が大きかったですし、自助努力が可能なことは、取り入れることは、意味があると思います。
ただ実際のところ、そういった環境因子は30%ほどで、遺伝的な影響は70%位と考えられています。
京大 東京医科歯科大学 シンガポールの国立眼科センターの共同研究の結果がすでにネイチャー誌(Nature Communications)に投稿、オンライン公開されていますが、トータル9244人の高度近視患者さんのデータ解析をすることによって、黄斑症の発症に特定の遺伝子が関与することが発見されています。(2018年5月)
この遺伝子は、強度近視を発症させることには、無関係でありながら、黄斑症発生には関与するということがわかっています。
ということは、もし強度近視になっても、黄斑症の発症や失明を予防できる可能性があるということになり、これは私には、朗報だと思われます。
例え近視が強くても、コンタクトや眼鏡による矯正視力が維持できていれば、何も心配することはないのです。
ただ、そういった合併症に注意を払い、予防できる可能性があることに意味があると思います。
病的近視にまつわる遺伝子研究も盛んになっているようですから、期待をもって注視したいと思います。