最近は、WEB学会に追われ(申し込みすぎ)、ノルマをこなすのにかえって忙しい毎日でしたが、先日MRさんがかなり包括的な緑内障に関するレビューを紙媒体で持ってきてくれたので、なんだかフレッシュな気分で隅々まで読みました。
緑内障啓発活動については、このブログでも何回か取り上げています。
疫学的なことは、そうそう変化することではないですが、ここに再現するのも、少し意味があるかと思い、そのレビューの一部をご紹介します。
まず、日本人の中途失明原因の第1位が緑内障 約30% 第2位が網膜色素変性症という難病指定されている病気で14% 第3位が糖尿病で13%。
2位と3位は僅差ですが、この結果から、緑内障による失明が多いことがはっきりします。このデータの調査年は書かれていませんが、6月発刊のレポートですから、その時点での最新データとのことです。
日本人の緑内障有病率は、40歳以上のすべての人口に対して5%。その内訳は、40代 2.2% 50代 2.9% 60代 6.3% 70代 10.5% 80代 11.4%と年齢とともに上昇します。
この統計は、約20年も前に行われた多治見スタディーという眼科医にとっては、とても有名な疫学調査をもとに報告されていますが、人口動態は、その後大分変化しています。
トータルの人口に対しての、高齢化率が進んでいますので、発症率がそのままだとしたら、緑内障人口は、増加しているはずだと思います。
治療として確立しているのは、眼圧を下げること。
視神経が障害されないレベルまで、眼圧を下げることに尽きるのですが、人によって適正眼圧は異なります。
超慢性疾患ですから、根気強く視野検査を繰り返し、視野減少が進んでいないか、眼底検査やOCT検査をして、視神経の障害が進まないかを時間を追って観察し、眼圧を小まめにコントロールする必要があります。
逆にいえば、患者さんにとっては、自覚症状が乏しい病気のため、この小まめなコントロールというのが、負担になり、ドロップアウトの原因になります。
根気強くコントロールさえ続けることができたら、最近は、薬剤や手術の治療の選択肢も増え治療成績は向上しています。
ですから、緑内障治療が始まった患者さんは、治療中断することなく、是非根気強く継続して頂きたいと思います。