咽頭結膜熱は、これから暑くなる夏場に子供たちに増える、ウイルス性の感染症です。
その名のとおり、結膜炎も30%位の確率で発症するので、眼科とも縁の深い病気です。
眼科では、はやり目という名前で呼ばれている、あまり歓迎できないウイルス性の結膜炎で、このブログでも何回か話題にしてきました。
今回は、はやり目ではなく、咽頭結膜熱という、小児科の先生から見た病気という切り口で、見てみたいと思います。
咽頭結膜熱は、アデノウイルスが原因となるウイルス性の感染症で、プール熱とも呼ばれます。
プール熱という名前から、プールに行かなければうつらない 或いはプールに行くと必ずうつると勘違いする方がいますが、アデノウイルスは、感染力が強く、集団感染を引き起こしやすく、プールは、格好の集団発生の場になるという意味です。
プール以外にも、幼い子供たちが集団生活する、幼稚園や保育園でも勿論流行しやすいですから、要注意です。
夏に多いとはいうものの、通年性のウイルス感染症で、もう皆さんよくご存じの、咳やくしゃみの飛沫感染と、唾液や鼻汁 便などを介して接触感染によって発症します。
子供に多く、この病気にかかる平均年齢は、3~4歳だそうです。ただし、大人がかかることもあります。
熱は、比較的高く4日ぐらい続くことが多いですが、それ以上長引くことはほとんどなく、また発熱して、扁桃腺が腫れたりしていても、細菌性の溶連菌感染症に比べ、食べたり飲んだりできて、元気があることも珍しくありません。
治療は、アデノウイルスも、ウイルス感染症共通で、直接効く特効薬はないので、対症療法として、解熱剤や消炎剤を使う程度で、家で安静に過ごして熱が下がるのを待てば、大半の人は回復します。
ただ難点は、潜伏期が長いことですから、子供さんが複数いる場合は、一人が治ったころに、次の子供さんが発症するなど、御家族にとっては、大変なことだと思います。
眼科から見たはやり目というのは、やはりウイルス性のために特効薬がなく、偽膜が張ったり、糸状角膜炎が併発してゴロゴロ痛い思いをすることもあるので、目の症状が出なければ何よりです。
眼科で見るはやり目の患者さんは、むしろ大人の方が多いのですが、子供たちはおそらく小児科の先生から出していただく点眼薬(何を出していただいているのかはわかりませんが)で改善しているからだと思います。
アデノウイルスには、多くの型があり、感染力が強いものの、人体にダメージを与える強さは、それほどでないものがほとんどのため、大人のはやり目にかかっている患者さんは、大部分の方に全身症状はありません。
たまに耳の前のリンパ節が腫れている程度ですが、目の症状は強いために、眼科に来られるのだと思います。
角膜の上に、点状の混濁を残す置き土産があることもあるので、結膜炎後に長引く目の不調があれば、眼科受診も必要だと思います。