11月の末日、光の健康を科学するという慶応大学眼科の、坪田先生のレクチャーを聞きました。
坪田先生は、角膜や屈折がご専門です。
最近は子供の近視を進めない為にはどういうことが有効なのかに注力して、研究はもちろん、マスコミに出演して啓蒙活動をしたり、企業と連携して商品化できるものは実用に供するといったアクティブな活動をされています。
外遊びを2時間すると近視になるリスクを減らせるということは、最近よく知られてきました。
あまりに簡潔に要約してしまうと、それは、太陽の光の中のバイオレットライト及びそれを感知する光受容体の作用のおかげです。
光受容体というのは、現在知られているものは、9個ありそのうち眼球内にあるのは4つのみで、他は非視覚系つまり体内全体にあるそうです。
そこに至るまでの地球が誕生した46億年前から視覚システムが発生する5億年前までの約39億年間の道のりについてのお話も個人的には、とても楽しかったのですが、そこは端折って光に反応するというのは、何も視覚が専売特許ではないということです。
ですから、外遊びを推奨されているわけですが、統計的に優位に効果があったのは、毎日2時間 週14時間 外で遊ぶということ。
今の時代かなり困難なことだと思います。
単に外で遊んで字を読まないから近視にならないのではなく、バイオレットライトを浴びることに有意に意味があるということは、種々の緻密な研究で証明されたそうですが、バイオレットライトはガラスを通さないので、室内で窓を閉めていると効果は得られない。
ということは、メガネをかけて、外遊びをしている場合は効果が落ちますし、そもそもバイオレットライトは近視の発症を抑えられても、進行を止めることはできない。
そこで、メガネ企業と手を組んで、バイオレットライトを通すメガネを開発したり、バイオレットライトを照射するメガネを開発したりということも、大学の倫理委員会の稟議を通して着々と進めているようです。
坪田先生は、ごきげん主義 ご機嫌に生きようということをかねがねスローガンにされています。
実際私が研修医だったころ、まだ坪田先生自身も若かりし頃の素の姿を近くで見ていましたが、本当に、そのころから前向きで、ジョーク好きで、人の気持ちを自然と温めてくれる、印象深い先生でした。
しゃべり方もそのころから、ちっとも変わらず、生き生きと話されて、久しぶりに眼科の講演でリフレッシュできた会でした。