目に何かが飛び込んでくることは、珍しいことではありませんが、たいがい涙が反射的に出て、目の外にでてしまいます。
ところが運悪くそのまま目の中に居座ってしまうと、かなり痛みが強くて急いで眼科に行くことになります。
黒目に異物がくっついてしまって離れない状態が、角膜異物。
板金など金属を扱う仕事をしている方は、何度も経験されているかもしれません。
小さい鉄粉でも角膜上に付着したままだと、錆がでていつまでも異物感が取れず炎症も強くなります。
角膜異物を取り除くことは、もちろん麻酔をして行いますから、取ること自体に痛みはありませんが、錆まで徹底的に取り除く必要があるので、ある程度角膜上皮を削り取るため、麻酔が切れるとそのあとしばらく痛みがあります。
道を歩いたり、自転車に乗っていただけという方でも、何らかの偶然で鉄粉が目に入ることが意外とありますので、おさらまない異物感の時には放置しない方がいいでしょう。
高速で回転する器械を使って作業している場合は、傷の程度が軽くそれらしい異物が角膜上に見当たらなくても、エネルギーがあるため眼球内に入り込んでしまうことがあります。
その場合は、眼内炎を起こす危険性があるので、早急に硝子体手術が必要になることもあります。
最近は、あまりみかけませんが、かなり昔、工場の多い地域に出張していたころ、鉄粉異物はしょっちゅうあることで慣れっこになっているようで、お互いつまようじの先で麻酔もなしで取りっこするという話を、患者さんから聞いたことがあります。
さぞかし痛いだろうと思うのですが、だいぶこじれた状態で眼科にやってくるので、今後はそういうことはしないで早めに来てくださいね、と何回もお話ししたことを思い出しました。