先週末は、虎ノ門ヒルズフォーラムで行われた緑内障の勉強会に参加してきました。
薬物治療・画像診断データの読み方の復習・他科での緑内障についての常識・現在では実行不可能なデータを読み込んでの論文紹介等毎日の診療に直接フィードバックできるお話で、18:30~約3時間という長丁場でしたが、楽しく過ごせました。
その中でも印象に残ったお話は、緑内障の診断がついている患者さんを、治療したグループと治療しなかったグループに分け、6年間にわたって比較したデータです。
一口に緑内障といっても、実は色々な種類があるのですが、その中でも落屑症候群という、瞳の周囲にうっすら埃が溜まったような白い付着物がつくタイプの目の人がいます。
そういうタイプの人は、房水内にその埃状の物質が浮遊しているため、房水の出口のメッシュが詰まりやすくなり、年齢が上がるにつれ、緑内障を併発しやすくなります。
ついでに言いますと、その埃状物質は、水晶体を吊り下げている紐状のところにもたまることがありその紐が緩くなることで、白内障の手術が年齢につれ難しくなり、また瞳のふちにたまるその物質のせいで、瞳が開きにくくなることによりさらに手術を困難にします。
ですから、そういうタイプの目の人は、あまり年齢が高くなるまで放置しない方がいいのです。
緑内障のお話に戻りますが、そういう落屑緑内障の場合、日によって眼圧が変動しやすく、コントロール不良になりやすかったり、進行が速いことは今では有名な事実ですが勉強会で聞いた過去のデータによりますと、正常眼圧緑内障 いわゆる開放隅角緑内障 落屑緑内障の3種類の緑内障のうち、68歳以上の落屑緑内障の患者さんは、悪化のスピードが一番早く、無治療で過ごすことの危険度は一番高かったということが実証されていました。
無治療でいると、緑内障の進行スピードは、年齢が高くなるにつれ早まります。
一般に、高齢化すると糖尿病や高血圧 高コレステロール血症の治療は緩めでよいといった理解があると思いますが、こと緑内障に関しては、眼科医は最後まで気を緩めてはいけないんだと改めて思いました。
画像診断のデータを読むことについては、基本は熟知しているつもりですが、こういう読み方もできるのかと面白い発見もありました。
実りの多い勉強会だったと思います。