白内障と近視の進行
白内障とは目の中の水晶体(レンズ)が濁って見え方が悪くなる病気です。本ブログでもよく登場する、眼科でもっともポピュラーで、手術件数も多い病気です(日本では年間120万件以上!)。加齢性の病気ですが、通常でも早いと50歳代から、80歳までにはほとんど全員が白内障になっています。
白内障にもその濁り方によって種類があります。特に核白内障と呼ばれるタイプでは、初期には近視が進行してきます。濁りも軽度なので近くがよく見えるようになり、「老眼が治ってきた」と喜ばれる患者さんもおられます(神様からの贈り物という眼科医もいます)。
ただしこのタイプは進行も早く、数か月から半年以内にどんどん近視が進んで、眼鏡を何度も変える必要が出てきます。そうしているうちに濁りも強くなり、いよいよ眼鏡の度数をどんなに上げても視力が出にくくなってきます。このタイミングになってようやく、眼鏡店で眼科受診を勧められることが多いようです。
一般的に白内障では、患者さん自身が眼鏡をかけても見えにくくなったときが手術のタイミングとなります。ですがこの核白内障は進行も早く、短期間にいくつも眼鏡を作る費用ももったいないので、進行が疑われたら早めの手術が良いと考えます。診察ですぐに判断できますので、心当たりがある方は、まず眼科受診をお勧めします。 (前沢義典)