小学校での眼科検診では、たくさんの児童を短時間で診察するため、眼科でいつも行っているように、顕微鏡などを使って詳しく診ることができません。残念ながら“アッカンベー検診”などと揶揄されることもあります。私も行くことがありますが、肉眼で素早く、まぶたを下げて(アッカンベーして)、重症の疾患だけは見逃さないように、と行うので、どこまで詳しく診察すべきかといつも迷います。
学校の先生による視力検査も、クラスメイトと並んでいることが多く、ゆっくり落ち着いて行えているとは限らず、視力低下とのプリントをもらって受診したけれど、眼科で視力検査をしたら全く異常なし、ということもよくあります。少しでも疑いのある児童には念のため眼科で精密検査を受けてもらって、疾患の早期発見につなげる、という検診の意義からするとそれでよいのですが。
また現在の眼科検診とは別に、近視の実態調査についての研究の一環として、通常は病院で行ういくつかの検査を、小学校で全校生徒に行うという試みも始めています。視能訓練士による矯正視力検査、器械による屈折検査(近視か遠視か、乱視はどれくらいか)のほか、当ブログでも紹介した眼軸長(眼の長さ)の測定などを、実際に小学校に器械を持ち込んで測定します。これらのデータでもやはり、1年生から6年生まで学年が上がるごとに近視の児童の割合が増え、平均の近視度数が強くなり、眼軸長も伸びていることが示されています。
当院の小児眼科外来では、このような実際の小学生のデータも参考に、現在のお子さんの近視の程度や進行具合について、相談することができます。不安がある方は受診をご検討ください。(前沢義典)