さて今回は前回に引き続き網膜静脈閉塞症の治療について解説します。
まず薬物治療ですが、この疾患に対して効果的な点眼薬はなく、処方するとすれば内服薬になります。血流改善を促す効果を期待して末梢血管を拡張させるような循環改善薬であったり、また血管が閉塞すると血液が逆流して網膜に出血が起こるため、それを抑える目的で血管の壁を強くするような内服薬を処方することなどがあります。また血栓を溶解させる薬、再閉塞の予防として血液をサラサラにする薬などもありますが、残念ながらどの内服薬も効果は決して強いものではなく、病状が劇的に改善することはめったにありません。
このためドクターによって処方するかしないかは様々です。私個人的には患者さんの希望があれば処方したりしますが、何も処方しないことも多いです。
他にはレーザー治療を行うこともあります。これはどちらかというと発症してすぐではなく、何ヶ月か経過してから行うことがある治療です。レーザーする目的には大きく2つのパターンがあります。
まず第一には、網膜静脈閉塞症によって起こった血流障害が強く、かつそれが広範囲に及ぶ場合には、これを放置してしまうと新生血管という悪い血管が発生してしまう恐れがあるため、予防的にレーザー治療をすることがあります。また新生血管が既に発生してしまった場合にも、そこから大出血が起こらないようにレーザー治療をしたりします。
それ以外の目的としては、網膜静脈閉塞症に網膜の浮腫(むくみ)を伴う場合、場合によってはレーザー治療をすることもあります。ただしこのレーザー治療も見え方が著しく改善することは稀です。
次回はこれら以外の治療についてお話ししようと思います。