夏休みに、以前読んだ本をぱらぱら読み返していて興味ある話題を見つけました。
岡田尊司さんという精神科医が書かれた本ですが、意外な事実として、長寿と最も関係のある性格傾向は、大方の予想を裏切って、明るさや社交性といったものではなく、慎重さや勤勉さや誠実さといった地味な性格だったということです。
長寿と最も強い結びつきがあったのは、生真面目で怠りなく、自己コントロールができ、信頼に足る慎重な努力家傾向。
明るさや陽気さはむしろ寿命に対し、マイナスの相関を示し、社交性も寿命に対しては中立的な影響しかなかったそうです。
さらに面白いのは、性格は子供時代から大人になるにつれ違ってくることも珍しくないですが、
子供時代から一貫して慎重な努力家だった人
子供時代は慎重な努力家だったが大人になってそうではなくなった人
子供時代は慎重さに欠け努力もしなかったけど、大人になってから慎重な努力家になった人
子供時代から大人になるまでずっと慎重さや勤勉な努力とは無縁だった人
と4群に分けて比較してみたところ、一番長寿を楽しめたのは子供時代からずっと慎重な努力家だった人で、最も短命だった人は、子供の時から大人になった後もずっと慎重さや努力に欠けた人で、途中からどちらかに変わった人はその中間だったそうです。
80年間に及ぶ研究の結論だそうですから、好むと好まざるとにかかわらず、受け入れざるを得ないと書かれています。
最近は、勤勉な努力家で節制するまじめさを笑う風潮がありますし、明るく陽気で、思いのままに楽しみや快楽を追求する方が、ストレスがなく、長生きできそうな印象ですが、現実は欲望のままに楽しくやりたいことだけをやって暮らした人より、日課を勤勉にやりこなし、欲望もほどほどに満たす術を心得た自己抑制のきいた人の方が健康に長く活躍し長寿を全うしたそうです。
そしてこういう性格特性は、むしろ成功の人生の時より、逆境の人生を歩むときの方が影響が大きくでるそうです。
長生きするだけが人生ではありませんが、このことを知るにつれ、荒波を乗り越え長寿を全うされた方に尊敬の念を覚えます。