新年明けましておめでとうございます。さて今回は前回に続きまして救急疾患の話、中でも本当に緊急性の高い眼科の疾患についてのお話です。
代表的なところでは、まず外傷によるものが挙げられます。特に眼球の壁を貫通するような外傷や、あまりに強い打撲により眼球が破裂してしまったような場合などもあり、そのままにしておくと目の中に感染を起こしてしまうため非常に危険なので緊急手術が必要となります。
例えば針金や釣り針、細い刃物、木の枝などといったものが目に刺さった場合、あるいは比較的鋭利で小さな金属片などが目に勢いよく飛び込んだ場合などには、稀に眼球の壁を貫通して目の中に異物が入ってしまったりすることもあります。損傷の程度によっては外傷性の白内障や網膜剥離などを起こすこともあり、すぐに救急受診する必要があるでしょう。
また外傷による骨折も緊急性の高いことのある疾患です。ガイコツを思い浮かべてもらうと分かりますが、眼球は上下左右が骨に囲まれており、特に内側と下側の骨は比較的弱いため、強い打撲によって骨折することがあります。格闘技など殴られたり、野球などのボールが当たったりした場合に骨折はしやすいです。骨にヒビが入った程度であれば、まぶたが腫れたり多少の痛みだけのこともあります。しかし手術が必要となるほどの骨折では痛みは通常強く、また骨折したところに眼球のまわりの筋肉が引っかかると眼球の動きに制限が加わることによって両目で見ると物がダブってみえたりもすることがあります。こういった場合には手術が必要となる可能性が高くなります。
また特に若年(子供など)で骨折が起こった場合には注意が必要で、年齢が若いほど骨が柔らかく弾力があるために、一旦折れた骨が元の位置に戻り、そこに筋肉が強くはさまってしまうことがあります。この場合、24時間以内に手術しないと筋肉が壊死してしまい、後遺症が残ってしまいます。昨年私がたまたま経験したケースですが、三重県の病院で当直していた時に小学生のお子さんがこのような骨折で受診されました。三重県内にはすぐに手術できる病院がありませんでしたが、後遺症の心配を考えてご両親も説得して、わざわざ京都まですぐに行ってもらうよう勧めました。そして京都の大学病院へ紹介したところ、そのまま緊急手術となり、適切な治療を受けてもらうことができました。
次回は外傷以外の緊急性の高い疾患について解説したいと思います。