飛蚊症
野宗先生のつぶやきに登場しました、飛蚊症についてのお話しです。虫やごみのようなものが飛んで見える、浮いて見える、といった症状を総じて、飛蚊症といいます。原因の多くは、目の中にある硝子体というゼリー状の部分のにごりやその影で、病気ではありません。子供の硝子体は、新鮮な生卵の白身のように、透明で硬いかたまりです。これが大人になると徐々に柔らかく一部は液状になり、ゆらゆらと目の中で動くようになります。
この硝子体が、目の奥の網膜から部分的に外れる(後部硝子体剥離;こうぶしょうしたいはくり)と、強い飛蚊症が自覚されます。この現象そのものは正常の状態で、治療も必要ありません。しかしこの後部硝子体剥離が起こった直後は、一部接着が強い箇所で網膜が硝子体に引っ張られて、光がちらつく光視症(こうししょう)を自覚し、または強く引っ張られて破れ目(網膜裂孔;もうまくれっこう)ができる、といったリスクが高くなります。網膜裂孔だけならレーザーで治療することもありますが、破れ目から水が回ると網膜剥離(もうまくはくり)になり、手術が必要になります。
飛蚊症の色や形、大きさでリスクを予測することは難しく、症状が気になったときは精密な眼底検査をすることが安心につながります。一般の健康診断で行う眼底カメラによる検査では、網膜の中央部分しか写りませんので不十分です。眼科では目薬を使って瞳孔(ひとみ)を大きくして、できるだけ端の方まで、網膜に異常がないかをチェックします。(しばらく瞳孔が開いたままの状態になるため、車の運転や手元の作業がしづらくなりますので、お帰りの際は十分な注意が必要です。)
新たに飛蚊症を自覚されたかた、以前に眼底検査をして大丈夫だったけど最近調べていないというかたは、ぜひ眼科受診をお勧めします。(前沢義典)