昨日は、西宮にある兵庫医大の眼科学教室主催のセミナーに参加しました。
その際の特別講演で、兵庫医大の脳外科教授の吉村紳一先生の、最新の脳外科治療についてのお話を聞き、感銘を受けました。
そもそも眼球は、脳の出張所と言われるぐらいですから、脳外科とも密接な関係があります。
今回は特に脳動脈瘤についてです。
脳動脈瘤が大きくなり、脳内の眼球運動に関係のある神経に触れるようになると、ダブって見える、片側の瞼が急に下がる、視力が下がるといった症状がでることがあります。
こういう症状の原因がすべて脳動脈瘤というわけではなく、糖尿病の神経障害や、ウイルス感染などでも起きますが、一番緊急性が高いのが脳動脈瘤。しかもその場合は、かなり大きくなっているはずですから、至急脳外科受診を勧めています。
脳動脈瘤の治療は大変進化しており、破裂前の治療の選択肢も増えています。
約70年前から行われている、開頭してのクリッピング。
10数年前からの脳血管内治療。心臓に使うカテーテルとは違い、柔らかいマイクロカテーテルを脳血管内に入れ、動脈瘤の内側に、プラチナ製の専用コイルを詰める方法。
ただあまりに大きな動脈瘤の場合は、再発したり、コイルが出てきて、血管を詰めたりするので、開頭手術になるようです。
そして最新の治療として、2010年から保険適用が認められた、血管内治療にVDRという装置を用いる治療。
マイクロカテーテルを経由して、金属製の網状の筒(VDR)を動脈瘤のある血管に入れてから、コイルを詰める方法。そうすると、コイルがしっかり詰まって、再発の危険が減り、血管内に漏れてきて、血管を詰めてしまうという心配もないそうです。
この新治療の成績、症例数は、吉村先生の教室は、国内で3本の指に入ると言われていました。
素晴らしい!!
情熱的な話に、時がたつもの忘れて聞きほれてしまいました。