本日も前回の続き、涙についてのお話です。まずは涙が多くて困るパターンです。「涙があふれる」「目がうるむ」などの症状で眼科に来られる患者さんは多くおられます。このような症状の方では、実際に診察してみると涙がたくさん本当にあふれ出てしまっている場合と、実は患者さん本人の自覚症状としては涙があふれて感じているけれども、診察して客観的に判断してみるとそうでもない場合もあります。
涙は前回説明しましたが、まずは涙腺で作られてから目の表面に分泌されますので、もし涙の分泌量が増えてしまうと、当然涙があふれてしまいます。涙の分泌量が多くなる原因の一つに角結膜炎があります。角結膜炎というのは角膜(くろめ)や結膜(しろめ)が何らかによって炎症をきたしたものを言います。例えば角膜であったら、コンタクトをしていて角膜に傷ができたり、何かが目に当たったりして傷ができたり、さらにはドライアイで逆に目が乾燥しすぎることによって目の表面に傷ができたり、このように角膜に傷ができるとその刺激で涙が異常に出過ぎてしまうことがあります。また、結膜炎でも同様です。例えば花粉症などでアレルギー性結膜炎になると、通常は目のかゆみを自覚することが多いですが、炎症が起こると涙の分泌量が増加してしまいます。またウイルス性結膜炎という「はやり目」と俗に言われるものであっても涙が多く出ることが実は診断の助けになることもあります。これらとは別に、情動性流涙といって悲しい時などに大量の涙が出るということもあります。
以上のように、涙の分泌量が増えて涙があふれてうるむことがあり、情動性流涙は別ですが、他のものでは原因を治すことによって症状を改善できます。次回のブログではこれら以外の涙の病気についてお話します。