現在、我が国のコンタクトレンズ使用者は、2000万人を超えるともいわれています。ハードコンタクトレンズや従来型のソフトコンタクトレンズの使用者は減少し、2週間頻回交換型や、近年では1日使い捨てのコンタクトレンズの使用者が増え続けています。
ソフトコンタクトレンズの歴史は古く、従来型のものは1960年ごろから開発研究が始まり、1972年に当時の厚生省から初めて認可されました。その後、酸素透過性や含水率に注目し、より目に優しい素材が次々開発され、その安全性も使用感も、当時より格段に良いものになっています。
しかし、度なしおしゃれカラーコンタクトレンズについては、適切な指導を受けずに安易に生活雑貨店やインターネットなどで購入できるため、眼科クリニックにおいても角膜(くろめ)障害などのコンタクトレンズ関連トラブルが増えています。角膜は知覚が過敏なため、非常に痛みが強いのが特徴です。さらに重度の感染症になると、失明の恐れさえあります。
こういった患者さんのほとんどが眼科を受診しないでレンズを購入し、中には一度使用したものを友人どうしで貸し借りをするなんて話も聞くことがあり、驚かされます。夏場は細菌などの微生物が繁殖しやすいため、これからの季節は特に注意が必要です。
医療機器として販売していない認可外のものは、製法が粗悪で、綿棒でこすると色が落ちるものもあります。素材も、開発当初のHEMAという樹脂が使われていることがあり、現在のレンズと比較すると、分厚く、酸素もほとんど通しません。約50年も前の素材でできたレンズを、いい加減に使用していることになり、本当に恐ろしい話です。
最近は認可されているレンズでも様々なデザインや色のものが発売されていますので、必ず眼科で検診、指導を受けたうえで、安全に使用していただきたいと思います。(前沢義典)