では本日は網膜剥離がどのようにして起こるのかについてお話します。一般的に網膜剥離というのは網膜に「裂孔(裂け目)」ができてしまい、そこから網膜が剥がれて起こる病気です。
まず前回説明しました一つ目のパターンですが、網膜剥離は近視が強い人に起こりやすい傾向があります。そもそも近視は子供の頃に進行しやすく、よって10代や20代の若者で近視の人に網膜剥離が起こることがあります。近視が強いと網膜に薄くて弱い部分ができやすいため、それがさらに進行していってしまうと、いわゆる裂孔という裂け目が発生してしまいます。この裂孔だけで進行が止まってくれたらいいのですが、目の中の水分がその裂孔から網膜の下に入り込んでしまいますと、いわゆる網膜剥離になってしまいます。
次に二つ目のパターンですが、加齢に伴う目の中の変化によって起こるパターンです。目の中には硝子体と呼ばれるゼリー状の物質が含まれており、この硝子体は年齢とともに収縮してゆきます。若い頃は硝子体は目の中にびっしりと詰まっているのですが、年齢とともに縮んでゆき、徐々に網膜から離れてゆきます。この時、硝子体と網膜の癒着が強いと網膜が硝子体に引っ張られてしまい、いわゆる裂孔ができてしまうのです。さらに先程と同じく目の中の水分が網膜の下へ入り込んでしまうと網膜剥離へと進行してしまいます。このように硝子体が網膜から離れてゆく変化はある程度高齢になると起こってくるため、50代〜70代の人に網膜剥離は起こりやすい傾向があります。
とはいえ、網膜剥離は1万人に1人と言われていますので、比較的稀な病気といえるでしょう。
次回からは網膜剥離の症状などについて詳しく解説したいと思います。