前回は小学校での眼科検診の結果、近年我が国では近視のお子さんが増え続けている、というお話をアップしました。これは日本に限ったことではなく、同じく近視が多いアジアの国々ではもちろん、もともと近視が少ない欧米諸国でも、また北極に暮らすエスキモーのデータでも、近視が増えていることが分かっています。 近視が進行する原因について、多数のデータを用いた海外の研究で、現在までに分かっていることを、まとめてみましょう。①外で活動する時間が短い・スポーツをする時間が短い、②1日のうちで近くを見る時間が長い、③田舎ではなく都市部に住んでいる、④今現在すでに近視がある、⑤学歴が高い、⑥両親が近視である、これらは近視が進行するリスクとされています。③から⑥などはどうしようもないですが、①や②なら、自分で意識して改善できるかもしれません。また⑥にあるように遺伝の影響を受けるとされますが、一般的な程度の近視では、それよりも①から⑤などの環境因子の方が、ずっと影響が強いと考えられています。ご両親が、もしくはどちらか片方が近視だからといって、あきらめることはないのです。 学校の眼科検診でプリントをもらって来たら、ぜひ一度専門外来を受診して、何かできることはないか、一緒に相談しましょう。(前沢義典)