文部科学省ホームページより、学校保健統計調査報告書を閲覧することができます(http://www.e-stat.go.jp/)。ここでは昭和53年から現在までの、小学校での身長・体重など学校検診の結果を見ることができます。例えば近年歯科検診では、歯医者さんの啓もう活動が広がった結果、虫歯の子供が激減しています。いっぽう眼科検診では、裸眼視力(眼鏡なしでの視力)が1.0未満(多くは近視のお子さんと思われます)の割合が、17.91%(昭和53年度)から31.46%(平成28年度速報)となっており、その中でも特に視力が悪い視力0.3未満の割合は2.67%から8.32%(平成27年度)と、増加の一途をたどっています。現代の生活スタイルでは仕方のないことかもしれませんが、長時間の勉強やスマホ、携帯ゲームなどは、少なからず影響があると考えられています。
学校の眼科検診でプリントをもらってくるお子さんが受診されると必ず、「近視の進行予防法はありませんか」と質問されます。小学生の近視は、眼球の大きさが大きく(眼軸が長く)なることで進行するので、身長が伸びるのと同じ要領です。ですから残念ながら現時点では、近視進行を完全に止める有効な治療方法はありません。しかし生活スタイルや点眼など、近視進行との関係が新たに分かってきていることも多くあります。ぜひ一度専門外来を受診して、一緒に考え、できることから改善してみましょう。(前沢義典)