さて本日は前回の続き、眼瞼けいれんの診断について解説します。眼瞼けいれんは前回説明した通り症状が非常に多彩であり、しかもよく似た症状が表れる病気が他に多くあるので、なかなか診断しにくい病気です。患者さん自身も「眼瞼けいれんではないですか」と自分から疑って来院されることはまずありませんし、眼科でルーチーンで行なっているような検査でも実は診断がつく病気ではないため、われわれ眼科医がその病気をまず疑う必要があります。そこで大切なのは視診や問診になります。
まず視診というのは、診察室に入られた患者さんの様子をわれわれ医者が見て病気を推察するというものです。眼瞼けいれんの患者さんでは、「まばたき」が異常に多かったり、顔をしかめているような表情になって、眉間にしわを寄せていたりすることもあります。かなり重症な患者さんであれば、目が開けにくくなって、ほとんど瞼をつぶってしまっていたりします。
問診では前回解説したような症状、まぶしいとか、うっとおしいとか様々な症状があり、それらから「眼瞼けいれん」という病気を疑っていきます。
そして疑うことができれば、ここで診断するための検査、すなわち「瞬目テスト」という検査を通常行います。瞬目とはすなわちまばたきのことですので、患者さんに意識的にまばたきをしてもらい、そこに無意識的に異常なまばたきが起こるか否かを判定するのです。これには3種類あって、速瞬テスト(できるだけ早く連続してまばたきをする)、軽瞬テスト(軽く歯切れ良いまばたきをゆっくり反復してもらう)、強瞬テスト(強く瞼を閉じて素早く開けるのを反復してもらう)といった検査をすることになります。これらに異常を認めた場合、程度は様々ですが、眼瞼けいれんという診断になります。