比較的新しい検査として、OCT検査(眼光干渉断層計)があります。
といっても開発されてから20年余り、実際には平成20年4月から保険収載されそれ以来、診療所でも普及し、眼底網膜の精密な検査が、患者さんに痛さを我慢してもらったり、レントゲンのように被爆の心配をする必要もなく簡単に受けてもらえるようになりました。
原理は近赤外光を用いて、眼内に光を送りその眼内からの反射波とコントロール波の干渉現象を基に、画像化したものです。
眼底カメラのように、網膜の表面を記録しているのではなく、ハイスピードでスキャンを繰り返すことにより、網膜の断面をリアルに、かつ拡大して、画面に映し出してくれる装置です。
診察で私たち眼科医が網膜をみる時、細隙灯という顕微鏡を使ってみますが、どんなに頑張っても網膜の10層を見極めることはできません。
それを数分間、眼底カメラと同じように、リラックスして前方を見ていてもらうだけで、ハイスピードのスキャンのおかげで、層に分けてしかも立体的に断面を観察することができるようになりました。
こういう器械は発売されて日時がたつと、どんどん改良され、分解能やスキャンスピードが驚異的に上がり、画像もきれいになります。
ですから白内障が余程強くなければ、散瞳しなくてもきれいな断層撮影をすることができます。
黄斑部の病気、例えば、加齢黄斑変性症 糖尿病性網膜症や網膜静脈閉塞症(眼底出血)の黄斑浮腫)、中心性漿液性脈絡網膜症等、等。
視神経乳頭の病気では、緑内障特に初期の緑内障の発見に力を発揮します。
断面図の変化は分かりやすく、患者さんに病状を説明するときにとても有用です。
何回も診察を受けている方は、自分でその画像をみて、自分の状態を把握できます。
実際は顎台にお顔をのせるということが、姿勢として困難な場合もあるのですが、そこさえ何とかなれば、時間的にも、肉体的にも、また経済的にも(この検査単体なら保険で3割負担で600円 1割負担なら200円)あまり負担のない、意義深い検査だと思います。
さらにOCTアンギオグラフィーの話題が1年ぐらい前から学会でもトピックスになっています。
OCTの断層像をアンファスという技法を用いて、デジタルで再構築して、網膜の血管構造を造影剤を使わず眼底写真をみるように、前からしかも深さは自由に、みることが出来るようになってきています。
造影剤はアナフィラキシーショックを起こす可能性を考えると躊躇することが多いのですが、このような検査も可能となることは、ますます正しい診断、治療に直結することで嬉しいことです。
宮の前眼科では、OCTはもちろん導入していますが、OCTアンギオはもう少し待って、性能や評価が安定してきたら導入したいと思っています。