フルーツカクテルの木というのをご存知ですか?
私は園芸のことは詳しくないので、初耳でしたが最近あるチリ人の園芸家が賞を勝ち取った木には、アンズとスモモとサクランボとモモとネクタリンがすべて同じ木に実っているそうで、そういうのをフルーツカクテルの木というそうです。
園芸家が様々な品種の枝を台木に接木して開発するそうです。その話を読み、今の宮の前眼科を思ったのです。
大学病院や、大きな病院にはもちろん複数の医師がいて、切磋琢磨して高度な医療を追及して医療レベルを引き上げてくれているわけですが、診療所では無理なことなのか?
診療所は、実践の場であって研究したり、論文を書いたりするのは本業ではありません。目の前にいる患者さんの苦痛や悩みを取り除き、即解決の道筋をつけるべきところだと思います。
では、高度医療は無理なのか?という疑問がわいてくるのですが、安全性が確立し、学会としてのコンセンサスが得られている治療は、術者を厳選すればおこがましいながら、診療所であっても可能だと思います。
宮の前眼科は新体制になって約1年。
手術といえばほとんどが日帰り白内障手術。ちょくちょく眼瞼下垂、涙道チューブ、翼状片 たまに斜視です。小児眼科の前沢先生をはじめ、白内障手術はどなたでもされますが、他の鄭先生、草場先生、野宗先生は網膜硝子体手術がご専門です。草場先生は緑内障手術もされます。
それを思うと、宮の前眼科ではとても余力を持って手術を受けてもらえる体制ができてきたと、院長として大変嬉しく思っています。
白内障手術一つをとっても、とても怖がりの方は、「ぼーと寝ててくれたら、こっちが全部ちゃんとするから僕に任しておいてくれたら大丈夫」と太鼓判をおしてくれる野宗先生にお願いしようか、とか心配のあまり話が長引きそうな方は、絶対怒らない(多分)草場先生が向いているかなとか。斜視のお孫さんがいれば、そのおばあちゃん、おじいちゃんは、前沢先生がいいのではないかしら等々。
鄭先生は私が最も信頼する眼科医で、以前もこのブログで書きましたが、冷静沈着。手術室では、手術に徹して殆ど患者さんと会話されません。集中が途切れないように手術の流れを大切にしているからでしょう。白内障の手術自体は、10分ほどで終わりますが、全体の流れを俯瞰すると10例以上の手術をする場合、始まりの1人目の方と10人目の最後の方とに注意力、集中力の差が有ることは許されないという強い使命感が感じられます。
ただ患者さんは、手術室に入る段階で緊張されていることと思いますが、看護師は慣れていて優しいですので、野宗先生が言われるように安心して横たわっていてもらえれば、痛くもなく終了します。
注意力の集中というのは、眼科のように繊細な手術では最も大切なことだと思います。患者さんには時々、「手術が終わったら鄭先生は、看護師さんとはよくしゃべっている」という声も聞きますが、それも手術室でのご自分の疲労回復のガス抜きなのかなと想像します。(多分)
手術時間が長くなる、硝子体手術のほうが、ある意味術者の集中はとぎれず、維持しやすいのかもしれません。
こういう優秀な先生に集ってもらえる眼科に成長できたことを私は、本当に感謝しています。
今後は、患者さんの希望があれば、鄭先生が主体となって、日帰り硝子体手術も可能となるでしょう。
患者さんの気持ちを汲み、それぞれの先生の個性を大切にして、フルーツカクテルの木のようなかぐわしい宮の前眼科でありたいと思います。