白内障というのは大変身近な病気なので、今更予防といわれても困ってしまうというのが、正直な感想です。
長寿時代の昨今、高齢者の範疇に入る65歳以上の白内障は、病気というより老化現象という捉え方が、自然なように思います。
確かに80代の方のほぼ100%の有病率ですから、多少個人差はあるものの、子供たちのように透明性を保った水晶体は、期待することはできません。
ですから裸眼であれ、メガネやコンタクトで矯正した状態であれ、1.0以上出ていたとしても、白内障ではないとは言えないわけです。
ただ余程視力が下がった状態でなければ、こちらからわざわざ白内障があるとは、多くの眼科医は言わないと思います。
なぜなら手術をする必要がないのに、白内障が出ているということは、これから進行させないためにどうしたらいいのか、手術を受けなくてもいいように、進行を抑えたいけれどどうしたらいいでしょうか という当然の疑問に答えるのはなかなか難しいからです。
こちらからわざわざ白内障があると伝えなくても、本当は、若い時とは見える質は低下してきていて、条件によってはかなり悪くなってきていることは、うっすら気付いている ということは、長年共に過ごしてきた患者さんの様子を見ているとわかります。
もし手術が必要になったら、先生そう言ってくださいね といわれる患者さんも多くおられますが、そう言うと いえまだよく見えています とか 今の時期は不適当だしそこそこ見えています と答えられることもままあります。
そこで外来ではゆっくり伝えられない、またあまりに当たり前でわざわざ言うのもはばかられる、白内障の予防という小コラムを長寿科学振興財団が公開していましたので、それを簡単にご紹介します。
ただし公開日は2016年7月 更新日2019年8月 というかなり古いもので、あまり期待するとちょっとがっかりかもしれませんが、ここに書いてみます。
1. 体内の酸化ストレスを予防するために、禁煙する。
2. 糖尿病 高血圧 高脂血症 心血管系疾患等を予防できるよう、生活習慣を見直す。
3. 抗酸化力を高めるビタミンを多く含んだ野菜や果物を毎日摂取することで、酸化ストレス
を解消する。
4. 紫外線による刺激を避けるために、帽子やサングラス コンタクトレンズなどで目を保護する。
5. 目の打撲や外傷により白内障を誘発することがあるため、目の外傷に気をつける。
6. 放射線の被ばく 赤外線の直接の照射を避ける。
ご参考になったかどうかは、定かではありませんが、白内障については、治療は大分洗練されていますので、予防ができなかったとしても、がっかりせず治療を受けることも考えてください。