眼科における内科疾患で、一番関係が深い病気はやはり糖尿病だと思います。
3大合併症の一つが、糖尿病性網膜症でそれ以外には、腎症 神経障害があります。
糖尿病自体が患者さんを苦しめるというより、合併症で健康な生活を送りにくくなることが患者さんにとって、苦しみとなるのだと思います。
内科医と違って、糖尿病そのものを治療することは、ほとんどの眼科医はしませんが、糖尿病について患者さんに尋ねられた時に、全然知らないということがなるべく無いように、よく勉強している患者さんに負けない程度の知識のブラッシュアップは必要です。
糖尿病の血液検査の結果を時々見せてもらいますが、その際誰でも知っているヘモグロビンA1c そしてGA(グルコアルブミン)という数字が並んでいることがあります。
GAはHbA1cほど、有名ではありません。この二つの一番の違いは、過去を振り返る期間の長さです。
血糖値というのは、採血したその時の値しかわかりませんが、GAは過去2週間ほどの HbA1cは過去1~2か月のコントロール状態を知ることができます。
GAは、血中アルブミンとブドウ糖 HbA1cは赤血球とブドウ糖との結合した割合ですが、高血糖であった期間が長いと数字が上昇します。
糖尿病性網膜症においては、硝子体出血や黄斑浮腫が悪化している あるいは手術直後であるという事が無ければ、週単位での経過観察をするより、月単位或いは年単位での受診頻度の方が多いです。
そのため、GAの値よりHbA1cの値の方がやはり参考になります。
内科の先生は、服薬を始めた初期のころや薬を替えた時などは、直近の血糖の変動を知るためにはGAの方が有用なこともあるのでしょう。
GAの正常値は11~16%となっていますが、透析中の方 妊娠中の方等患者さん一人ひとりに、正常値の目安は違うようです。
以前HbA1cの値より、腎臓関連の血液検査値に異常がないかが、網膜症の悪化に対して指標になる というデータもありましたが、眼科医として、なかなかそこまで踏み込む時間的ゆとりもないのが現状です。
網膜症は初期でこそ、血糖コントロールによって改善する期待も持てますが、進行するにつれ、血糖コントロールの良し悪しだけで治癒することは無く、眼科的手術の介入が必要な、独立した疾患となってしまうことも間々あります。
ですから、自覚症状が出るのを待つのではなく、糖尿病の診断が出たら、内科と並行して眼科も受診してもらいたいと思います。