国家における死亡率というのは、全人口に対する死亡者数の率ですが、高齢化国では、当然亡くなる方は増加します。
そのため、高齢化の影響を統計学的に取り除いた年齢調整死亡(ASMR)による分析がされています。
そのASMRは、日本では年々低下していたが、2021年は、2011年の東日本大震災以来、初めての増加となった。
この論文は、国立がん研究センターの田中宏和氏らの研究結果で、8月にBMJopen に掲載された。
COVID19パンデミックの影響ですが、日本以外の多くの先進国では2020年の段階で、平均寿命の短縮が報告されていたそうですが、日本では2020年の段階では感染拡大が抑制されていたので、平均寿命の短縮は起きなかったそうです。
田中氏らは、1995年から2021年までの厚労省の人口動態統計データをもとに、ASMRの推移を検討しています。
それによりますと、先程書きましたように、2020年までは順調にマイナスが続いていたが、2021年に増加に転じ、2022年は国内のCOVID19の患者数が急増し、ASMRに対するインパクトはより大きくなっている可能性があるそうです。
COVID19による10万人当たりのASMRは、男性3.8が17.5に 女性1.5から7.7へと上昇していた。
更にCOVID19以外にも、循環器疾患や老衰のASMRが増加。
これもCOVID19にかかることにより、血栓イベントが増加するという直接的な理由以外に、心筋梗塞や、脳卒中の救急搬送の遅れのために、タイムリーな治療が受けられなかったという間接的な理由も考えられる と分析しています。
また老衰死の増加については、パンデミック中は在宅死が増え、在宅死では老衰死と判定されやすかったのではないかと考察されています。
日本では、実際他国よりはCOVID19に対する医療事情は良かったと、総括されてきたと思いますが、統計的にはインパクトがあったということです。
厚労省の発表している人口動態統計データを詳しく見ると、ちょっと気が滅入るのですが、出生数は明治32年以来過去最低。
死亡数は過去最多。
自然増減数は、過去最大減少。
ほんの少し希望が持てるのは、婚姻件数は前年同率。離婚減数は、僅か減少。
高度経済成長期に合わせて育ってきた私としては、国力が落ちていく姿を見ながら老いていく
というのも自然なことのようにも、思えてしまうのですが、これから成長していく子供たちに
も何か良い夢を見させてあげたい という気がします。