今年は小児科領域のウイルス性感染症が増加しています。
眼科と関係の深いウイルス感染症 いわゆるはやり目については、今までもこのブログで書いてきましたが、この原因ウイルスも、咽頭結膜熱の原因ウイルスも共にアデノウイルスのため、小児科を受診後結膜炎症状についての心配で、来院される方が多いのも今年の特徴です。
今まではプール熱といわれた とどちらかというとのどかな響きでしたが、今年はアデノウイルス感染症といわれ、目に対してはウイルス感染なので、投薬の必要はない といわれたが、目やにがひどいのでと来院される方もいます。
ところでアデノウイルスというのは、とてもサブクラスが多いことで有名で、眼科では涙や分泌物から採取して迅速ウイルス検査を行います。
小児科でアデノと診断されたのに、眼科での検査では陰性ということもあります。
その理由は、迅速検査では、アデノウイルスの型までは同定できないため、現在起きている結膜炎が眼科で言うところのはやり目に該当するとは限らないからです。
咽頭結膜熱では、アデノ3型が多く、その他4型 7型 11型。
一方流行性角結膜炎のアデノウイルスは、8型 19型 37型 53型 54型 56型。
それ以外にも多くの型が該当します。
ややこしいのですが、それぞれ届出の必要な別々の感染症で、届出基準があります。
眼科は2020年4月からその基準も新しく改定されてますが、臨床的所見等は比較的専門的なことなので、省きますが、例えば家族内感染が多いので、家族の中に既に流行性角結膜炎の患者さんがいる場合は、他の症状が揃っていれば、ほぼ確定とされます。
迅速診断キットによる陽性も診断基準に含まれています。
咽頭結膜熱の診断基準の症状は、発熱 咽頭発赤 充血 となっていますが、その充血は、ウイルス型が違うと、軽い結膜炎で経過する場合もあり、いわゆるはやり目とは一線を画します。
ウイルス性の結膜炎といっても、はやり目の場合は偽膜という膜が張ってきたり、分泌物が多かったりした場合は、抗生剤の点眼 角膜混濁が出てきたらステロイド系の点眼とやはり治療薬は必要で、保険適応もあります。
結膜炎の症状がなかなか治まらない場合は、眼科の受診も必要だと考えます。