今ならお安く遺伝子検査を受けることができます といったポップアップ広告がPCなどを使っていると時々出現することがありますが、いかにも胡散臭いという気がしていました。
どこまで普遍性があるかは、今のところ不明ですが、緑内障リスクに対する遺伝子判定についての論文がJAMA Ophthalmologyに今年の7/15号に短報として掲載されました。
この論文の筆頭著者は、オールトラリアのフリンダース大学 准教授のOwen Siggs氏。
緑内障の早期発見が可能となれば、確かに朗報です。
自覚症状に乏しい緑内障は、早期に発見されることが難しい反面、視野が十分に残っている状態から薬物治療を始め、必要に応じ手術を受け眼圧コントロールが良好であれば、失明する危険性をかなり下げることができます。
発見時の残存視野 眼圧コントロールに対する熱意 といったものが、人生の視機能を左右することを思うと、もしこの遺伝子検査が本当に早期治療に結びつく信頼性の高いものであれば、家族歴のある方は受ける価値があるように思います。
スクリーニング検査としても価値があるのではないか との同意を示す眼科医もいるようです。
もしかしてすでに市販されているのではないかと、ネット検索してみると、眼病遺伝子検査キット なるものが販売されていました。
私は初めて知ったのですが、今年の5/14からメガネスーパーの社長である 星崎尚彦氏が代表を務める、ビジョナリーホールディングスという会社から発売されており、眼病や目に関連のある成人病などの19の疾病リスクを判定するとなっています。
大体の遺伝子検査と同様、頬の粘膜から自己採集して返送するということですが、こういったことを、商業ベースではなく、リスクの高い人にだけでも公的な扱いができるといいのにと感じます。
そうすれば、時々治療をはじめるべきか、もう少し経過観察を続けるべきかを迷う前視野緑内障という状態がありますが、リスクの高い方は早めに治療を開始するという決断を患者さんもしやすいと思いますし、治療の脱落も減るのではないかと考えます。