目に異物が飛び込んでくる場合、異物が潜む場所は大体3通りあります。
1 まぶたの裏
2 角膜の上
3 眼球の中
この中で一番痛いのは、1のまぶたの裏です。
この中で最も軽症ですが、痛みという点では、一番強いのです。
まぶたの裏の柔らかいところに刺さってくっついてしまうと、瞬きをするたびに、固い異物が角膜を傷つけるので、涙が多く、まぶたが腫れ、放っておくことができず救急外来を受診する人も多いです。
2の角膜の上にくっついてしまうものとしては、鉄粉が原因となることが多いのですが、鉄は錆がでるため、角膜表面に固着してしまい動かないので、かえって痛くないことがあります。
ただくっついてしまって錆がでて時間が経つと、もちろん異物ですから炎症反応が強くなってきます。
あまりに時間がたってしまうと、角膜の内側にまで炎症が及び、さらに除去するにも苦労することになるので、これもなるべく早く受診するに越したことはありません。
3の眼球内に異物が入り込む素材で一番多いのも、やはり鉄片です。
眼球の壁を突き破るには、ある程度の重さと断端の鋭利さが必要だからです。
この中では、最も重症度が高いです。
研修医の時に、レクチャーされたときのことを覚えています。
異物が眼内に入り込むのは、一瞬のことなので、その時の痛みが治まるとあとは意外と痛みを感じないことがある。
眼内に入ってしまった異物 特に鉄は錆がでると眼毒性が高いので、必ず手術的に摘出する必要がある。
ゆえに外傷状況を詳しく聞く問診は、とても大切なのだと教わりました。
眼内に異物があるかどうかは眼底検査をしなければわかりません。
もう既に異物が出て痛くなくなっていると思われる人にまで、眼底検査をするのは、あまりにやりすぎだと思うのですが、大学病院においてはそれも場合によっては仕方がないと、先輩の専攻医の先生に教わったことは懐かしい思い出です。