まず今日のタイトルの不同視について説明がいると思います。
一般的には左右の視力は大体同じであることが多いですが、屈折性弱視の目が弱視訓練で視力がでるようになった方や、幼少時は両眼同じ視力だったけれど、成長途上で片方だけが近視が進んだなどで、ある程度の年齢から左右の視力、正確には屈折値が異なる目の状態を不同視といいます。
片方で遠方 もう片方で近方(老眼の年齢になっている場合)とうまく使い分けて、メガネなしで過ごしてきた場合、人工レンズの度数を決める際、そのまま踏襲して、あえて左右差のある度数で人工レンズを挿入することがあります。
いままで左右が揃っていた方がこういう方法をあえてとると、違和感があるので、あまりお勧めしませんが、そのようにして人生の大半を過ごしてきた方は慣れているから大丈夫という考えです。
先日久しぶりに、そういう不同視の状態を積極的に希望して白内障手術を受けた方が、来院されましたが、年齢的にかなりご高齢ということもあり、眼精疲労を訴えておられました。
視力は左右ともに良く出ていましたが、字を見る時には片方を手で隠したほうが楽に見れると言われます。
テレビなどの遠くを見る時には、特に気にならないということですから、やはり近方視というのは負荷のかかることなのだと思います。
その方はあまり近くの作業はしないから、これで満足といわれていましたが、確かに私も以前に比べて本を読むスピードや集中力は落ちた気がします。
加齢による変化はどうしても避けられないとして、白内障手術の際の度数決めの際、近方作業を好む場合は不同視のままでよいのか、いっそ近方に両眼を合わせてしまった方がいいのか。
でもそうすると、両方近視の目になってしまうので、普段はメガネをかけないと、遠くが見えない。
そうすると、手術前にはいらなかったメガネがいつも必要になるので、不便になったという気がするかもしれない。
こういう時には、多焦点レンズがベストの選択だとは思いますが、保険適応がないしクリアーに見えるという点では単焦点に軍配があがる。
目も体の状態も年齢とともに変化してくるので、どれがベストというのは、なかなかご本人でも決めかねることだと思いますし、私も煩悶することがあります。