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近視の進行に関する疫学

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2020/11/01担当:山本 洋子
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日本の眼科という、日本眼科医会が発行する会員向けの月刊誌がありますが、そこで特集されていた内容をかいつまんでお伝えしようと思います。

 

近視人口の多い東アジアのみならず、欧米における近視についても言及されていました。

筆者は、川崎医大の長谷部 聡先生。

 

その前に、近視の程度についての、簡単な説明をします。

 

近視の程度はおおざっぱに弱度(-0.5~-3.0) 中等度(-3~-6) 強度(-6以上)と3分類されます。

 

強度近視と病的近視というのは、必ずしもイコールではありません。

 

病的近視というのは、近視によって網膜が前後方向に引き伸ばされることによって網膜・脈絡膜が傷んで、それに伴って視力と直結する黄斑部という大切なところに、出血や委縮が起きてしまうことによって視力が下がる状態です。

 

また一般に近視があると、緑内障 網膜剥離 白内障に罹患する確率は高まりますが、病的近視の場合、それが重症化しやすいところに問題があります。

 

ですから近視の程度を軽くするというのは、とても大切なことです。

 

ここからが、本題です。

 

東アジアにおけるこの10年間の近視有病率は23%増加し、欧米でも増加しているものの、小児期の近視発症率は依然として低く、イギリスでは16歳以降の発症の遅発性近視が、近視人口の大半を占めているそうです。

 

東アジアにおいて近視の有病率は、学齢期の6歳以降が急上昇することが知られていますが、発症から進行がある程度止まるまでの期間の、進行速度がどのように変化するのかが知りたいところです。

 

しかし有病率と違って進行状況を調べるためには、長期に及ぶ調査がいるため、労力と経費が莫大なので行われにくく、また色々な国で行われた調査では条件が様々で、統計データとして示せることは少ないようです。

 

ただ大幅に端折って結論として言えることは、近視の学童における進行速度は、成長とともに低下する傾向があること。

 

眼軸長においても同様なことが言えるので、眼軸長を基に近視の進行を予測しようという試みがある。

 

強度近視の87%が7歳以前の近視の発症で、早くから近視になることが、強度近視の危険因子と結論されています。

 

ただし、早い近視発症が全て強度近視になるわけではなく、逆に11歳以降の発症でも強度近視になることもあるので、注意が必要という結論になりました。

 

何となく、予想通りの結論ですが、いよいよ国内で、日本眼科医会 日本眼科学会が、日本近視学会の協力の下、文科省と共同で、学童を対象とする近視の疫学調査が始まるということですから、その成果を気長に待ちたいと思います。