視力表で、1.0というのは、5メートルの距離から、ランドルト環の切れ目が判別できる視力でその大きさを1分角と呼びます。
おおよそ人間の目の能力は、その程度であることになります。
時に2.0とかそれ以上という人もいますが、人間である以上限界はあります。
ところで、夏休みにブラックホールの撮像成功の話を読んだのですが、その際に必要だったのは、なんと視力にして300万。
視力表に置き換えると、5メートルの距離の300万倍つまり1500万キロメートルの距離から視力表の1.0の大きさが見分けられる能力に当たるということ。
1500万キロは、地球から太陽までの距離が1億5000万キロメートルですから、その10分の1の長さ。
莫大過ぎてピンときませんね。
ブラックホールの存在は間接的な証拠で確定されていましたが、その証拠映像を見ることはできていませんでした。
それが、去年正式に映像とともに世界の6か所で同時記者会見で公表されて少し話題になりました。(2019年)
ブラックホールの観測自体は、2017年に施行されていたそうですが、その莫大な処理 分析 整合性をとって映像化するといったことに約2年かかり、去年公表されたということです。
この観測に使用する電子望遠鏡は、どこに設置してもいいわけではなく、宇宙観測に適しているけれど、人間には過酷なところばかりで、チリのアタカマ砂漠 ハワイやメキシコの火山 スペインやアメリカの シェラネバダ山脈やアリゾナといった山の中 南極
どこも環境の厳しいところに設置されています。
トータル8つの望遠鏡をアップグレードして結合して、解析するなんてことは、想像を絶するのですが、日本もそのプロジェクトに参加し、大切な役割を担っているとのこと。
それらの望遠鏡を結合することにより、地球サイズの望遠鏡となり、データを同期させ、地球の自転も利用することで、視力300万をたたき出すのです。
視力300万あれば、月面に置いたゴルフボールが見えるそうです。
そんな視力はいらないのですが、日本ではこのプロジェクトの主な働きをしている、東京天文台に対して、2020年度の予算が半減され、6月にもプロジェクトが維持できないのではないかと心配されていましたが、天文台内部の予算配分を見直したことにより、2020年度は継続できるということです。
人が生きるか死ぬかといった医療や福祉 防衛費 公共費とは違って、天文なんて何の足しになるかと思われてしまうのかもしれません。
でもアインシュタインの一般相対性理論で予言されていたことがついに、実証されたということは、もう少し話題になって、予算がついてもいいのではないかと思うのです。