白内障は、アトピーや外傷 先天性などの理由で若い人に発症することもありますが、圧倒的に多くの人は加齢とともに視力の低下やまぶしさといった症状が、いつとはなしに出てきます。
でもそれが意外とゆっくりなので、日常生活に溶け込んで自分の視力が下がっていることに気付いていない或いは、大した問題ではないと考えている人が多いように思います。
それは特に年齢が上がるにつれ、自分の体調に対して、良くも悪くも諦めることが習い性となっているからなのではないかと思います。
ですからかなり視力の低下した方が、少しも日常生活に不便はないと言われるのも、あながち強がりではないのかもしれません。
白内障の進行が現時点以降絶対ないとわかっていたり、自分の寿命があと何年と分かっていれば、もしかしたらそういう考え方も一理あるかもしれません。
でもそれは神ならぬ身としては、自分で知ることは無理な相談ですし、例え寿命が短いことがわかっていたとしても、今日という日を気持ちよく過ごしたいというお気持ちに応えて、末期がんの患者さんに白内障手術を施行したこともあります。
そして、御家族の方々を含め喜んでいただけたと思います。
自分の人生ですから、それぞれの方の意思を尊重しますが、安全な医療が受けられる日本という国の力が必ずしも永遠のものではないのかもしれないということを、この頃の経済状況を見ていると思います。
ぬるま湯につかる、ゆでガエルのお話にもあるように、白内障手術に限らず、あらゆることがあまり日延べできないのかもしれないと心配になります。