糖尿病と目は密接な関係があることは、もうとても有名な事実です。
本当に年々啓蒙活動や、ネット環境が進んだことにより、一昔前の患者さんより色々なことを患者さんはご存知です。
でもそれによって、病気の人が減ったかというとそうでもありません。
以前にも書いた話題ですが、コロナの影響で、自宅で静かに過ごしている糖尿病の方も増えているのではないかと思い、もう一度お書きしてみようと思います。
糖尿病の3大合併症は、糖尿病性腎症 網膜症 神経障害です。共通点は、ごく細い毛細血管が多い場所で、その血管が高血糖によって傷むことによって色々な病変が起きてきます。
網膜には微小な毛細血管が張り巡らされていますが、その血管が傷むことによって、毛細血管瘤という瘤ができたり、そこから出血して、点状出血という状態になります。
血管から血漿成分が漏れてできたものが、硬性白斑。
視力を出す中心の黄斑部に運悪く血漿成分がたまると、黄斑浮腫という状態になります。
この場合は、視力が下がったり、ゆがんだりするため、自覚症状がでますが、一般に初期の段階といわれる単純性網膜症 さらに進んで、血管が狭くなったり詰まったりして、網膜に十分血液が流れなくなってきた虚血(網膜前網膜症)の状態になっていても、特に黄斑部が巻き込まれていなければ、視力も下がらず、自覚症状はありません。
この段階で見つけることができたら、レーザーを行うことにより、進行を遅らせることを期待できます。
さらにこの状態から進むと、虚血部の網膜には、新しく血管が作られてきますが、新生血管といい、本来の血管とは構造が異なり、もろくて破綻出血を起こしやすくなります。
また、膜ができ、硝子体と網膜を癒着させ、網膜を引っ張ることにより網膜剥離を引き起こす。
もちろんこの状態(増殖性網膜症)では、視力は大幅に低下してしまい、網膜硝子体手術が必要となります。
進行すればするほど、期待できる術後視力は、低下します。
患者さんによっては、全く自覚症状がなく突然の硝子体出血で、視力低下をきたしてしまって気付くということもありますが、少量の硝子体出血の前触れがあって少しぼやけたり、視力が下がったりしたことがあったと、患者さんに問診すると言われることがあります。
どの段階であっても、またこの病気に限らず、何らかの異変があった時は、放置せず受診して頂きたいと思います。