つい先日、緑内障治療の新薬(エイベリス)が参天製薬から発売され、また選択肢が増えました。
緑内障は、超慢性疾患のため、罹患する人の数は高齢化に伴って、必然的に増えていきます。
2015年度の、視覚障害の原因疾患の第1位が緑内障で25%以上を占め、2位が網膜色素変性症で14%。 3位は、糖尿病性網膜症 13%となっています。
眼科医は、緑内障の早期発見に努め、なるべく視野減少の少ない時期に見つけ、治療につなげようとしています。
ただ発見できたとしても、白内障のように手術治療をすれば、それで解決というわけにはいかず、緑内障は生涯点眼や経過観察が必要です。
点眼薬から治療を開始するのが、鉄則です。
緑内障手術は、目標眼圧まで点眼薬では低下させることができず、視野の悪化が進むときには、考慮の必要がありますが、手術でうまく眼圧が下がったとしても、また上がってくることはあるわけですから、やはり再び点眼薬が必要になることは、珍しくありません。
そのために、緑内障治療薬の点眼継続率というのは、大変重要です。
先日の勉強会で恐るべきことを東大の相原先生がお話しされていましたが、初診から受診回数5回 期間でいえば3か月までに、約60%の患者さんが脱落し、通院を中止しているとのことです。
当院では、さすがにそんなに脱落しているとはおもいませんが、緑内障は放置して良くなることは絶対にありませんので、これはとても問題だと思います。
緑内障治療中の方は、ご存知でしょうが、点眼薬の中には、副作用としてまぶたが黒ずんだり、必要以上に睫毛が伸びたり、上まぶたが薄くなって奥目のように見えるなど、外観に影響することがあるため、使用を躊躇することもあるのが、原因の一つです。
中止すると回復しますが、現在治療の中心薬となっているため他の薬に変更したとしても、長期中止することはやはり難しいのです。
今回の新薬は、そういう類の副作用がでる薬と同等の眼圧下降効果が期待できるうえに、そういった副作用がでないということで、大変注目されていますが、重大な副作用として、白内障術後の患者さんに使用すると、黄斑部という視力を出す最も大切な場所が腫れてきて、視力低下をきたす可能性がかなりの率であるということです。
眼科医からすれば、外観よりも視力の方が大切ではないかと思ってしまいます。
もう少し、治療成績が出そろい、安全性が確立されてからの方が安心ですが、もしご希望があれば、すでに処方できる体制になっていますからご相談ください。