最近 調剤薬局や他科の先生から、緑内障治療中だそうですが、この内服薬を使ってもいいですか といった質問をよく受けます。
尋ねられる内服薬で多いのは、睡眠導入剤 抗うつ剤 抗ヒスタミン剤。
抗ヒスタミン剤は、かゆみ止めとして花粉症の時によく処方されますし、風邪薬の中にも入っていることがあります。
最近は、質問内容も高度化してきて、抗コリン作用薬を使ってもよいかと患者さんにご自身から聞かれることもあります。
抗コリン作用薬は簡単にいえば、副交感神経の作用を抑える働きがあるので、腹痛 下痢を止める胃腸薬などにも含まれます。
わりと身近な薬に入っているので、添付文書に赤字で緑内障禁忌となっていると気になるのだと思います。
緑内障の中にも2種類あり、隅角という房水の水はけと関係する部分がもともと狭いと、瞳が広がった時にさらに狭くなり、房水の流出がままならなくなり、急に眼圧が上がる発作的な緑内障。
もう一つは隅角は正常な広さで、そのような狭くなる内服薬を服用しても何の心配もいらない緑内障。
交感神経を刺激する薬であれ、副交感神経を抑える薬であれ、結局瞳孔が広がる作用のある薬が危険ということになります。
ほとんどが隅角の広い開放型の緑内障ですし、たとえ狭めの隅角であっても内服薬で、眼科で散瞳薬を使った時ほど広がることはまずないのですが、添付文書にはあらゆる副作用情報を義務付けられているで、ああいった表現にならざるを得ないのかもしれません。
治療中の緑内障の方は、ある意味緑内障についての説明もよく聞いてわかっている方が多いので、むしろ心配は少ないです。
しかし残念ながら、眼科受診歴のない方は、自分の目の構造を知る由もないので、あまり意味のない警告となってしまいます。