今回はさらに糖尿病の目の合併症について詳しく述べてゆきたいと思います。
糖尿病は血糖値が高くなることによって色々と身体に障害を及ぼす病気であることは皆さんある程度ご存知のことかと思います。通常、食事をしたら血糖値は上がりますが、膵臓で作られるインスリンというホルモンの働きによって血糖値は下がるのが通常です。しかし糖尿病の人ではこのインスリンが分泌されなかったり、分泌されても効果が発揮されなかったりしてしまい、血管の中に糖が異常に蓄積されてしまいます。そして糖が異常にたまると、それが血管の壁を傷つけてしまうことに繋がり、出血が起こったり、血管が詰まったりしてしまいます。
特にこのような血管の異常というのは毛細血管から生じやすく、目の中にある毛細血管に異常が出てくることがあります。特にその標的となりやすい部位が「網膜」です。網膜に糖尿病による障害が起こったものは「糖尿病網膜症」と呼ばれますが、糖尿病の患者さんの実に30〜40%の人に網膜症を認めるというデータもあり、かなりの有病率ではないかと思われます。
またその他にも、糖尿病は目に色々な異常を引き起こしやすく、白内障、ぶどう膜炎、緑内障などが起こることもあります。次回は最も多い「網膜症」について解説します。