寒い日が続いていましたが、ようやく少し過ごしやすい気温になって来たように思います。でもこれからの季節は花粉が飛びはじめるので、個人的にはアレルギーが辛い季節の予感がしています。
さて今回は白内障で使用する眼内レンズについての豆知識をお話します。前回までは多焦点の話を詳しく述べましたが、今回は眼内レンズの色についてお話します。眼内レンズは色で分けると2種類あり、少し黄色みがかっている「着色眼内レンズ」と、無色透明の「非着色眼内レンズ」とがあります。昔は非着色のものしかありませんでしたが、近年は着色レンズも登場しており、それぞれに特徴があります。いずれのレンズも有害とされる紫外線をカットする働きは持っています。違いは人間の目で見ることのできる可視光線の透過性の違いになります。
まず非着色レンズはあらゆる可視光線を通すレンズです。白内障になると多くの場合は水晶体が黄土色(あるいは黄色)っぽく変化していますが、手術によってこの非着色レンズを挿入した場合、色合いがとてもクリアーになります。よく言われるのは今まで白いと思っていたものが実は少し黄色がかって見えていたみたいで、ものすごく白色が綺麗です、明るくなりました、と言われることが多いです。今まで白内障で曇っていた視界が一気に明るくスッキリ見えますので、とても満足してもらえることが多いです。
しかしながら非着色レンズでは逆に不満を訴えられることもしばしばあります。明るいを通り越してしまって「まぶしすぎる」と感じることがあるのです。また眼内レンズが無色透明であると、「白いものが青っぽく見える(青視症)」という不満も出てしまうケースもあります。
明るさや色合いの感じ方というものは個人差があるので多くの場合はこのようなことはありませんが、しばしばこのような不満を感じる場合を経験したことがあり、このような非着色レンズの欠点をうまく補っているものが着色レンズになります。次回、着色レンズについて詳しく解説したいと思います。