サーカディアンリズムを司る第3の受容体は、ブルーライトへの感受性が高く、ブルーライトを昼間に浴びるのは、サーカディアンリズムを正常に保つために、良いというのが先週の結論でした。
カメラとしての目は可視光線全域(420~564nmの波長)を見ていますが、時計としての目は青の波長(460nm)のみが主となって作用しています。
LEDは、電流を流すと発光する半導体で、現在のLEDは、460nmの波長を発光するブルーライトLEDです。
ですから安くなって、長持ちするLED電球は嬉しいのですが、たしかに夜につけることが多い電球に、ブルーライトが多いというのもやはり困ったこと。
昨今紫外線の害は有名ですが、目に関しては、その殆どが角膜や水晶体でブロックされてしまうために、網膜レベルで障害を起こすのは短波長のブルーライトではないかと考えられています。
一体ブルーライトは、目に良いのか、悪いのかと惑ってしまいますが、自然に存在するものには、良いことと悪いことがない混ぜになっていて、良い点だけを享受しようとするのはやはり虫が良い考えといわなければならないかもしれません。
ただ自然に浴びるブルーライトの量を超える遥かに大量のブルーライトを浴びるのは、人間の知識が生みだした工業製品のおかげではあるのですが、生き物としては想定外のことなのかもしれません。
ですから、私達も自分で、無理のない 可能な自衛手段を講じるに若くはないと思います。
紫外線を浴びることによって白内障になるのは、長寿が許される現在ではある程度仕方が無いことかもしれません。
白内障手術が普及していない昔は、白内障は悩みのタネだったかもしれませんが、手術の技術や器械が発達した現在では、隔世の感があります。
白濁した水晶体(白内障)は、ブルーライトの透過が悪くなり、サーカディアンリズムが乱れ、不眠症の原因になるとか、白内障の術後に睡眠障害が改善したという論文もあります。
白内障手術時に、人工水晶体を挿入しますが、その人工レンズの選択にもこのブルーライトの研究は生かされていて、網膜への悪影響のある短波長のブルーライトはカットし、サーカディアンリズムに必要な460nmを中心としたブルーライトは、透過するというレンズがあります。
蛇足ながら、宮の前眼科が採用している人工レンズもこのタイプのレンズですのでご安心下さい。