斜視というと、小さいお子さんの病気、という印象があるかもしれません。多くの斜視は先天性(生後間もなくからある)ですので、間違ってはいません。しかし斜視には後天性(大きくなってから起こる)のものもあります。交通事故や、脳の手術などで眼の動きが悪くなる麻痺性斜視が代表的です。
しかし最近、10歳代や20歳代の若者を中心に、原因不明の内斜視が増えています。多くの場合、軽度から中程度の近視で、きちんと眼鏡をかけていない方に起こります。
スマホや携帯ゲーム、パソコンなど、生活の中心が近見、つまり眼から50センチメートルくらいまでの近くにあるため、眼鏡を必要と感じず、いつも眼が内に寄っていて、いざ遠くを見ようとしてもすぐに対応できないため、物が二重に見えるのではないかと考えられています。
治療はプリズム眼鏡や斜視手術を行いますが、初期であれば、生活習慣の改善で症状が軽快する方もおられます。後天性内斜視発症予防の観点からも、スマホやパソコンは使用時間を区切って、適切な休憩をとることが大切でしょう。(前沢義典)