私が子供の頃は、学校で色覚検査をするのは当たり前のことでした。それは、昭和33年に制定された学校保健法により、毎年1回色覚検査をするように定められていたからです。
昭和44年に、小1・4 中1 高1にのみ定期健診、平成5年に進学調査票から色覚の項目削除。
平成7年 小4のみに定期健診と徐々に縮小され、ついに平成14年には、定期健診から削除され、希望者のみが受ける任意検査となり、実質学校でのチェックはなくなってしまいました。
学校保健法ですから、当時は色覚異常があったとしても、学校生活に特に不都合が生じないこと、プライバシーへの配慮のない検査をすることにより、無用な差別を受けることなどかえって弊害があること、事後指導が不十分で、検査をする意味が感じられなかったことなどが理由でした。
ところが、平成26年4月文科省より通知があり、保健調査に色覚に関する項目を新たに追加し、より積極的に保護者に周知を図るということになりました。
色覚検査が義務でなくなったことで、色覚への関心がうすれて、実際に進学・就職に際して初めてわかり断念せざるを得ないという例が続出したからです。
自衛官 警察官 消防士 航空・船舶・鉄道・バスなどの乗り物関係に色覚制限が多かったり、工業高校や美容専門学校 調理師学校等 色の識別が特に必要となる学校への入学で問題となるなど、予め知っている方が、本人のために有用だったということが、明らかになってきたからです。
先天性の色覚異常は、勿論進行もしませんし、治療するものでもありませんが、男性の約5% 女性の約0.2%と特に男性にはかなりの率で発生します。
ですから将来の仕事を選ぶ人生の早い時期に、自分のために、自分をよく知るために積極的に検査を受けて欲しいと思います。